無形資産

企業買収時の資産査定で重要なものとして「のれん」とは別に無形資産があります。企業の知的財産権、ブランドなど有形資産とともに企業の収益の源泉となっているものです。無形資産がどのようなもので、なぜ重要かを見ていきます。





1. 無形資産はどのようなものか
日本基準、IFRS(国際会計基準)における定義は次のとおりです。
■日本基準の無形資産:法律上の権利など分離して譲渡可能なもの(企業結合に関する会計基準29項)
■IFRSの無形資産:物理的実体のない識別可能な非貨幣性資産をいう。(IAS第38号8)
定義ではイメージしにくいため具体的な開示事例をみましょう。日本基準では無形資産に係る包括的な会計基準が存在せず分類基準がないため、IFRSの例示(IFRS3号IE18~IE39)により分類したIFRS任意適用企業の開示例を示します。(調査対象:IFRS任意適用会社のうち2016年8月末有価証券報告書提出会社65社)

分類区分開示例(一部集約しています)
市場関連無形資産トレードマーク、商標権
顧客関連無形資産顧客関連資産、顧客基盤、顧客との関係、受注残
芸術関連無形資産ゲーム著作権、コンテンツ、番組供給関係
契約に基づく無形資産有利なリース契約、フランチャイズ契約、資源に関わる権利等、鉱業権
技術に基づく無形資産ソフトウエア開発資産、研究開発、製品開発資産、特許権、技術資産、基盤技術
顧客関連無形資産とは耳慣れない用語ですが、開示例のうち、たとえば顧客基盤は、被買収企業の企業結合時に存在し顧客から期待される将来の超過収益力と説明されています。



2. なぜ重要か
買収価格算定時、被買収企業の無形資産の価値を知らずして買収価格を算定することは困難です。例えば、先に述べた顧客基盤は実物資産とのシナジーにより利益に貢献しています。実物資産は競争企業でも購入により手に入れることができますが、顧客基盤は複製などできません。この物的実態のない富の源泉を手に入れるために買収をするのですから、無形資産は企業買収戦略上、重要です。この重要性は、経済がハードからソフトにシフトする現代では、ますます高まるものと思われます。



お見逃しなく!
一般投資家視線からは、財務諸表における無形資産の注記による開示は、合理的に算定された資産金額、内容、耐用年数、減損が記載されており、企業の将来利益に関する重要な情報をもたらします。財務諸表作成責任を有する経営者は、この観点に立ち情報開示をする姿勢が求められます。

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