国際租税回避対応の切り札~共通報告基準(CRS)~

共通報告基準(CRS)
近年、多国籍企業や富裕層による国際的な租税回避行為や海外への資産隠しが国際社会において大きな問題となっています。このような状況に対応するため、日本を含むOECD加盟の各国は、共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)の策定を進め、2014年2月に公表しました。
CRSとは、非居住者の金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準です。2016年10月現在、いわゆるオフショア金融センターやタックスヘイブンを含む101カ国・地域の税務当局がその実施を約束しています。



日本における対応
日本においては、2015年度税制改正において「租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律」(実施特例法)の改正が行われ、CRSを法制化し、2017年1月1日から施行されることとなりました。
これにより、2017年1月1日以後、全ての個人・法人が日本の金融機関等に新規で口座開設等を含む一定の取引を行う場合には、居住地国等を記載した届出書の提出が義務付けられます。また、既存の口座については、金融機関がCRSに定められた一定の手続きに従って口座保有者の住所等の記録から居住地国を特定することとなります。
金融機関においては、日本以外に居住地国を有する顧客の口座情報を特定し、報告すべき口座を選別した上で2018年以後、毎年4月30日までに国税庁に報告します。当該報告においては、暦年末における非居住者の氏名、住所、外国の納税者番号、口座残高、利子・配当等の年間受取総額等の情報を国税庁宛に提出することになります。さらに、年中に解約された口座等の情報も報告の対象となります。報告された非居住者口座情報は、租税条約の情報交換規定に基づき、各国税務当局と自動的に交換されることとなります。



国際戦略トータルプラン
国税庁は2016年10月に「国際戦略トータルプラン-国際課税の取組の現状と今後の方向-」を公表しました。CRSによる金融口座情報の自動的交換は、多国籍企業や富裕層の国際的租税回避に対応するための情報リソースの充実とグローバルネットワークの強化において重要な制度と位置付けられています。CRSにより外国の金融機関に口座を保有する日本居住者の情報が外国の税務当局から国税庁に集まることから、適正な課税を実現するために有効な情報として活用すると明記されました。



米国における対応
米国ではCRSに先立ちまして、米国人による外国金融機関の口座を利用した脱税・租税回避を防止する外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)が2013年に施行されました。これにより、日本を含む米国外の金融機関は事実上、米国人が保有する口座情報を米国課税当局に報告する義務を負うこととなりました。米国はFATCAに基づく情報交換を実施しているため、CRSには参加していません。



お見逃しなく!
国税庁は2018年から各国に情報提供を開始することとなりますが、一部の国では1 年前倒しでCRSを実施しており、2017年から各国への情報提供が開始されます。これにより、海外金融機関において日本企業や日本人を含む非居住者口座に対するステータスの確認や、場合によっては口座閉鎖の連絡がなされています。

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