同一労働同一賃金

厚生労働省は、2016年12月20日、正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の待遇差が不合理かどうかの解釈指針を示す「同一労働同一賃金ガイドライン案」を発表しました。今後は法制化が待たれます。



ガイドライン案の概要
①基本給 ②手当 ③福利厚生 ④その他の項目について、問題とならない事例、問題となる事例が紹介されています。
例えば、賞与を貢献度に応じて支給する場合、非正規にも支給することが原則ですが、業績目標と目標未達時のペナルティが設定された正規には賞与を支給し、それらが設定されていない非正規には賞与を支給しないことは問題のない事例として示されています。一方で、正規には無条件で全員に賞与を支給するものの、非正規には支給しないことは問題事例とされています。
通勤手当については、同一の基準で支給することが原則ですが、パートの採用圏を近隣に限定している場合には、支給基準が異なっていても問題ないとされています。



パートタイム労働者総合実態調査が示す待遇差の現状
厚生労働省が5年ごとに実施している「パートタイム労働者総合実態調査(平成23年)」によると、正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、パートに通勤手当を支給する割合は65%ですが、賞与の支給割合は37%です(正社員にはそれぞれ85%、83%の割合で支給)。ガイドライン案が法制化された場合の影響は小さくないと言えるでしょう。
また、上記①基本給については、A.いわゆる属人給に分類される職能給(労働者の職務遂行能力を基準に定められるもの)、年齢給や勤続年数給等にB.仕事を基準に定められる職務給、成果給や役割給等の要素が複雑に絡み合って決定されているのが現状です。今後は正規・非正規間の比較をできるだけ可能にする仕組みを整えるとともに、正規の給与体系にも踏み込んだ取り組みが求められると考えられます。



ガイドライン案を踏まえた企業側の対応
非正規として働く労働者には二つの類型があります。一つは、非正規から正社員への登用を希望する労働者です。労働人口が減少している中で、このような人材を育て、正社員登用を進めていくことは会社の発展につながることでしょう。もう一つは、育児・介護との両立や、起業準備、副業兼業等を考え、フルタイムで働くことを望まず、自ら非正規労働を選択している労働者です。後者に属する労働者であっても、自らが納得の得られる処遇を受けられることが、ガイドライン案の目指す「我が国から『非正規』という言葉を一掃する」ことにつながるのでしょう。労働者がどのような働き方を選択しても公正な処遇を受けられることが生産性の向上にもつながり、その時にこそ『非正規』の負のイメージが、多様な働き方の中の一つの選択肢に置き換わるのではないでしょうか。



お見逃しなく!
会社が非正規労働者を雇用するのは、会社負担の社会保険料の負担を回避する目的も含まれます。2016年10月1日より従業員数が501名以上の企業を対象として、短時間勤務者の社会保険加入義務が拡大されました(一週間の労働時間20時間以上などの4要件に該当する場合)。さらに2017年4月1日より、500名以下の企業であっても、加入適用範囲を同様に拡大することが可能となっています。拡大は労使の合意に基づきますが、労働者が希望した場合に、会社には適切に協議をすることが求められています。

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