政府が破棄した行政文書

2017年2月24日の国会答弁で野党が森友学園との取引記録を開示するように要請しましたが、近畿財務局と学園側の交渉や面会の記録が破棄されていることが発覚しました。政府はこの破棄について「売買契約の締結をもって事案は終了したことから破棄した」と答弁していました。



1.財務省行政文書管理規則
財務省が発表している「行政文書管理規則」には保管期間が10年間と記載されており、取引後もしばらくは情報を管理するように定められています。行政文書(法人文書)の範囲によって多少の差異はあるようですが、原則として国有地売却のような記録は残すのが当然です。



2.法人税法で規定される帳簿書類の保存期間
法人税法で規定されている帳簿書類※の保存期間は以下のとおりです。
その事業年度の確定申告書の提出期限(通常事業年度の末日から2ヶ月後)から7年間
ただし、青色申告を提出している場合で、平成20年4月1日以後に終了した事業年度に欠損金がある場合には帳簿書類の保存期間は9年間、平成30年4月1日以後に開始する事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間になります。
※「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、また、「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。



3.法人が帳簿書類の保存期間を守らなかった場合
(1)消費税法で仕入れ税額控除が否認される可能性がある
消費税法では簡易課税制度を適用しない場合には、仕入税額控除の適用を受ける要件として、課税仕入れ等の事実を記載した帳簿及び請求書等の両方を保存する必要があります。
(2)青色申告が取り消される。
取り消されれば白色申告になりますので、青色申告の各種特典(下記に例示)が受けられなくなります。
欠損金の翌期以降の繰越し、欠損金の繰戻しによる法人税額の還付、措置法による優遇etc.
※会社法では会計帳簿を決算期末から10年間保存しなければならないとされており、これに違反した場合は100万円以下の過料とされています。

このように、我々法人が重要書類の保存を怠った場合、ペナルティが課されることになります。2017年2月24日の国会答弁で発覚したことは、本来ペナルティを課す側の立場である政府が管理義務を怠ったということになります。どのような解釈や定義によって破棄を決定したのか、また、実際に破棄されたのか定かではありませんが、仮に我々が同じことをした場合に、政府が上記のようなペナルティを課すことができるのか疑問が残ります。

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